「見えない遺品」が、家族の負担になる前に
私たちの暮らしの多くは、いまやスマートフォンやインターネットを通じて成り立っています。SNS、オンラインサービス、写真、音楽、アプリの定期課金…。
けれど、もし自分に万が一のことがあったとき、それらはどうなるのでしょうか?
「デジタル遺品」と呼ばれるそれらのデータやサービスは、放っておくと家族にとって大きな負担になることがあります。
私自身、終活の一環として、これらの整理を進めるようになりました。特別なことではなく、日常の延長でできる準備です。
この記事では、私が実際に行っている整理の方法をご紹介します。
1. SNSアカウントは「一覧化」が基本
Twitter(現X)やInstagram、FacebookなどのSNSは、利用している本人しかログイン情報を知りません。
そのまま放置されているアカウントは、見つけた家族が削除も変更もできずに困ることになります。
私は主要なSNSについて、次の情報を一覧にしてまとめています。
- アカウント名(ID)
- 登録メールアドレス
- パスワード
- 削除や退会の手順(URLなど)
記載先はエンディングノート。紙とデジタルの両方で保管しています。
パスワードの記載には注意が必要なので、保管場所と共有相手はあらかじめ決めておくと安心です。
また、登録メールアドレスにフリーメールを使用しているのでこのメールアドレスについても、パスワードを残すようにしています。
2. サブスクは「解約マニュアル」で対応
動画配信や音楽、クラウドサービスなど、月額課金の「サブスク」は増える一方です。
もし自分が何も伝えずに亡くなったら、気づかれないまま支払いが続いてしまう可能性も。
そこで、私は利用中のサービスについて、簡単な「解約マニュアル」を作りました。
スマホでの操作手順を画面キャプチャで撮り、画像と文章でまとめておく形です。
エンディングノートの中にリンクを貼っておくことで、家族も迷わず対応できるようにしています。
3. スマホ契約の情報も明記
スマートフォンは、生活に欠かせない道具です。
でも、契約会社や名義が分からなければ、解約もできません。
そのため私は、
- 契約している通信会社名(例:ドコモ、au)
- 契約名義
- 電話番号
- 使用している機種名
これらをエンディングノートに記録しています。あわせて、SIMカードの位置や端末のロック解除の可否などもメモしておくと、さらにスムーズです。
4. 写真データは「見る用」と「保管用」に分けて整理
デジカメやスマホにたまった写真も、残される側には扱いに困ることがあります。
私は以下のように整理しています。
- 生データ(すべての写真):年ごとにフォルダ分けして保存
- 選別済みの写真:似た写真や連写の中から、1枚だけ選んだものを別フォルダに
すべてを整理するのは大変なので、「これを見てくれれば大丈夫」と思えるデータを用意することが大切だと感じました。
5. 「残す・処分する」の判断をノートに書く
たとえ整理しても、デジタルのモノはどこまで残せばいいか迷うものです。
だから私は、「処分の考え方」を明文化しておくようにしました。
- 基本的にすべて解約してOK
- 残したいものは、名義変更等をして残しても構わない
こうしておくと、家族が迷ったときの判断基準になります。
“自分にしか分からない情報”が、誰にとってもわかる形になるよう工夫する。それが、デジタル終活の第一歩だと思います。
おわりに
デジタル遺品の整理は、難しいことではありません。
ただ、手を付けないままだと、後々思わぬ負担となってのしかかります。
アカウントの情報をまとめる。
解約手順を残す。
残しておく意図を伝える。
この少しの準備が、残された人への最大の思いやりになると感じています。
気になった方は、まず1つだけでも、今日から始めてみてください。
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